加給年金の支給停止規定の変更点について詳しく
加給年金って?
加給年金とは、厚生年金保険と共済組合等に20年以上加入していた方が、65歳になった時点で、その方に生計を維持されている配偶者または子どもがいるときに自身の年金額に加算されるものです。
65歳到達後(または定額部分支給開始年齢に到達した後)、被保険者期間が20年以上となった場合は、在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)に生計を維持されている配偶者または子どもがいるときに加算されます。
配偶者:65歳未満かつ厚生年金・共済組合等の加入期間が20年未満の方
子:18歳年度末までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態にある子
ただし、配偶者に係る加給年金は、配偶者に老齢厚生年金・退職共済年金の受給権がある場合には、支給停止となることがあります。
その支給停止の規定が今回見直されました。
加給年金の支給停止の条件
今までは、生計を維持している配偶者の老齢厚生年金・退職共済年金の支給が全額停止となっている場合には、加給年金が支給されていました。
今回の改正により、令和4年4月以降は、配偶者の老齢厚生年金・退職共済年金の支給が全額停止となっていても、受け取る権利がある場合には、加給年金は支給停止されます。
(ただし、一部経過措置が設けられています)
配偶者が働きながら老齢厚生年金を受け取る場合
なお、老齢厚生年金については「在職老齢年金」という仕組みがあり、働きながら年金をもらう場合は、その収入に応じて年金が減額または支給停止される仕組みとなります。
もし、配偶者自身が働きながら老齢厚生年金(加入期間は20年以上)を受け取る場合、この在職老齢年金の仕組みにより年金が減額された場合でも、老齢厚生年金が1円でも支給されている場合は、加給年金の対象から外れます。
つまり加給年金は支給されないこととなります。
一方で、在職老齢年金の仕組みによって配偶者自身の老齢厚生年金が全額支給停止された場合は、老齢厚生年金を受け取ることができないため、加給年金の対象となり、加給年金が支給されることになります。
本来年金とは高齢で収入の少ない人に対して、その生活保障のために支給するものなので、稼ぎの多い夫婦により多く年金が支払われるのは、年金制度と矛盾することにもなります。
2022年4月からの改正点
こういった矛盾点を解消するため、年金法改正によって2022年4月からは、配偶者自身の老齢厚生年金については、在職老齢年金の仕組みによって全額支給停止となっている場合でも、老齢厚生年金を受給できる者として、加給年金は支給されないこととなります。
まとめ
今回は配偶者自身の老齢厚生年金について、在職老齢年金の仕組みによって全額支給停止となった場合、法改正前と改正後の違いについて解説してきました。
なお、配偶者だけでなく、自分自身の老齢厚生年金についても、在職老齢年金の仕組みによって全額支給停止となっている場合は、加給年金は支給されないので注意しましょう。
今後はますます夫婦共稼ぎがスタンダードとなってくる時代なので、
「夫婦でいくら年金もらえるのか?」
「夫婦で働きながら年金をもらうのか?」
年金制度を理解しながら夫婦で十分話し合ってみてはいかがでしょうか?
「令和4年度 改正のポイント」のまとめ
その1~その5は↓こちらから確認できます。
(その1)年金の繰上げ・繰下げ受給について
(その2) 在職老齢年金制度の見直しについて
(その3) 年金の新制度『在職定時改定』について
(その4) 加給年金の支給停止の規定の見直しについて
(その5)年金手帳から基礎年金番号通知書へ