老齢年金について、国民年金はもともと65歳から受け取り開始となっていましたが、厚生年金の受取開始年齢は55歳受取開始、その後の改正で少しずつ65歳に向けて引き上げられ、男性2025年まで(女性は2030年まで)に完全に65歳への引き上げが完了となるスケジュールとなっています。
※男性:昭和36年04年02日生まれ以降・女性:S41年4月2日生まれ以降の方が65歳からの支給となります。
2022年4月からの変更点
繰上げについて
繰上げ受給(通常65歳からもらう年金を60歳以降65歳未満の間に年金をもらい始める制度)の減額率が0.5%から0.4%となります。
65歳時点でもらう年金額から1か月早めるごとに減額される率が緩和されました。
※対象となるのは、令和4年3月31日時点で、60歳未満の方(昭和37年4月2日以降生まれの方)です。
昭和37年4月1日以前生まれの方については、現行の減額率0.5%から変更はありません。
繰上げの注意点
一度繰上げて年金を受け取り始めたら取り消しはできません。
また、障害年金の請求が出来なくなる場合もありますので、繰上げする場合のデメリットを年金事務所で確認し慎重に検討する必要があります。
繰下げについて
繰下げ受給(通常65歳からもらう年金を66歳以降に年金をもらい始める制度)については
1か月遅らせるごとに65歳時点からもらう年金額から0.7%増額される点は変わりませんが、繰下げできる年齢が70歳から75歳へ延長になります。
※対象となるのは、昭和27年4月2日以降に生まれた方となります。
今回の改正で、2022年4月からは年金を受け取る年齢を最大75歳まで繰下げることができるようになります。75歳まで繰り下げると年金額は84%増額されます。
受給開始年齢を遅らせるほど、もらえる年金額が増えるということですが、いつまで生きられるのか(年金を受給できるのか)分からないので、受取開始を何歳にするのが有利かは一概には言えません。
判断のポイントは「何歳まで生存しそうですか?」
繰り下げする場合は、繰り下げしなかった場合との比較(逆転年齢)を年金事務所で確認しましょう!
年金をいつから受け取ればいくらになるのか!
現役を引退した後の収入をどのように確保するか!などなど。
いろいろなパターンで具体的に考えることが大切となります。
年金を繰り下げし増額した年金額を受け取り始めたが、受け取り開始してすぐに亡くなってしまったら大損!!
まとめ
受給開始年齢の選択幅が拡大されたことをきっかけに、老後の生活設計に向き合ってみてはいかがでしょうか。
「令和4年度 改正のポイント」のまとめ
その1~その5は↓こちらから確認できます。
(その1)年金の繰上げ・繰下げ受給について
(その2) 在職老齢年金制度の見直しについて
(その3) 年金の新制度『在職定時改定』について
(その4) 加給年金の支給停止の規定の見直しについて
(その5)年金手帳から基礎年金番号通知書へ